投資家のバイブルとも言われる「会社四季報」。その膨大な情報をいかに効率よく、かつ効果的に読み解くかに焦点を当てた、はっしゃん氏の著書『「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法 [改訂版]』を要約・解説します。
本書の全体像と主要な主張
本書が最も伝えたい核となるメッセージ
本書の核となるメッセージは、**「誰でも『会社四季報』を正しく速読すれば、資産を10倍にする『テンバガー(10倍株)』の候補を1時間で見つけ出せる」**ということです。
著者は、投資の成否は「情報の質」ではなく、**「情報の処理スピードと、成長する企業の共通点を見抜く目」**にあると主張しています。約3,800社におよぶ全上場企業のデータを網羅する四季報を「辞書」としてではなく「宝の地図」として活用するノウハウを提示しています。
著者が考える株式投資における成功の鍵
成功の鍵は、以下の3点に集約されます。
「増収・増益」の継続性: 単発の利益ではなく、売上高が右肩上がりで伸び続けている企業に注目すること。
成長のストーリー性: 企業の事業内容や市場環境から、なぜ成長しているのかという「根拠」を四季報のコメントから読み取ること。
効率的な絞り込み: すべてのページを精読せず、特定の指標(成長率や時価総額など)で「投資対象外」を即座に切り捨てる勇気を持つこと。
読者がこの本から得られる最大の学び
最大の学びは、**「自分なりの『勝ちパターン』を四季報から視覚的に見つけ出す技術」**です。数字の羅列に圧倒されるのではなく、成長株特有の「誌面の顔(パターンの美しさ)」を直感的に判断できるようになるための実践的な訓練法が学べます。
具体的な投資手法:はっしゃん式「四季報速読術」
本書で推奨されている投資手法を、段階を追って解説します。
1. 手法の概要
この手法は、四季報の各ページを数秒ずつチェックし、「売上高の成長」が著しい銘柄だけをピックアップするというものです。難しい財務分析よりも先に、「勢いのある会社」を視覚的に探し出す、いわば「宝探し」のスピードアップ版です。
2. 実践ステップ
ステップ1:時価総額でフィルターをかける
10倍株を狙うなら、すでに巨大な企業(トヨタなど)ではなく、**時価総額300億円以下(せめて500億円以下)**の小型株にターゲットを絞ります。
ステップ2:売上高の推移をチェック(最重要)
四季報の業績欄(過去数年〜来期予想)を見て、売上高が毎年10〜20%以上増え続けているかを確認します。
ステップ3:営業利益率と1株益(EPS)を確認
売上だけでなく、本業の儲けを示す「営業利益」も増えているか。また、**1株益(EPS)**が右肩上がりなら、株主への還元力も高いと判断します。
EPS(1株当たり純利益): 会社が1株に対してどれだけの利益を出したかを示す指標。
ステップ4:コメント欄の「見出し」を速読
【絶好調】【独自増額】【急伸】といったポジティブなキーワードがあるかチェックします。
ステップ5:理論株価を算出する
著者の独自指標である**「理論株価」**(後述)を用い、現在の株価が割安か、あるいは将来的にどこまで上がる余地があるかを判断します。
3. 具体的な銘柄選定・売買の判断例
| 項目 | 選定基準の例(架空のA社) |
| 時価総額 | 100億円(伸び代が十分にある) |
| 売上高成長率 | 前年比+20%を3年継続(成長のエンジンが強い) |
| 営業利益率 | 15%以上(効率よく稼げている) |
| 四季報コメント | 「DX需要を捉え独自サービスが急拡大。来期は過去最高益」 |
| 購入タイミング | 四季報発売直後、成長ストーリーに確信が持てた時点 |
| 売却タイミング | 成長が鈍化(増収率が10%を割り込んだ)、または理論株価に到達した時 |
4. メリットとデメリット
メリット:
短時間で全銘柄を俯瞰できるため、見落としがなくなる。
「成長」というシンプルな指標に絞るため、初心者でも迷いにくい。
大化けする前の「原石」を自力で見つける喜びがある。
デメリット:
速読には慣れが必要(最初は1時間で終わらないこともある)。
「成長期待」が高い銘柄は、決算が少しでも悪いと暴落するリスクがある。
5. 注意点と落とし穴
「増益」より「増収」を重視せよ: コスト削減で一時的に「増益」になっても、売上が伸びていなければ成長の限界がすぐに来ます。必ず売上高の伸びを優先してください。
不自然な急成長に注意: 1年だけ異常に売上が伸びている場合は、M&A(企業の買収)や一時的な特需の可能性があります。継続性があるかを必ず確認しましょう。
6. よくある疑問への回答(著者の考えに基づく)
Q: 損切りのタイミングは?
A: 購入時の「成長ストーリー」が崩れた時です。例えば「売上が20%伸びるはずだったのに、10%に落ちた」なら、株価がいくらであろうと撤退を検討します。
Q: 四季報以外の情報は必要?
A: 四季報はあくまで「入口」です。気になる銘柄を見つけたら、企業のHPで「IR資料(投資家向け説明資料)」を読み、より詳細な成長戦略を確認することをお勧めします。
読者が今日から始めるべき具体的な行動アドバイス
最新の「会社四季報(紙)」を購入する: パラパラとめくるスピード感は、デジタル版より紙の方が速読に適しています。
付箋を用意し、直感で「お!」と思ったページに貼る: 最初は分析しようとせず、売上高の数字が綺麗な右肩上がりになっているページに付箋を貼る練習から始めましょう。
「理論株価」を計算してみる: 著者のサイト(はっしゃん氏のブログ等)で公開されている計算式を使い、気になる銘柄の本来の価値を算出してみてください。
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